三月に入ってすぐのこと
世の中はコロナウィルスの猛威にさらされ、マスクが慢性的に品薄となり除菌用アルコールなども店頭から姿を消していた。
更にデマの影響でトイレットペーパーまでもが様々な店舗で欠品となりモラルの無い人々による買い占めなどが横行。
そんな中、自分と嫁は定期的に近場のドラッグストアに出向いてはトイレットペーパーを中心にいろいろな衛生用品を探していた。
家計での買い物は自分の財布を使うためいつも精算の時は嫁が自分の後ろポケットから財布を取ってお金を払う。
自分は基本的に高額なものを身に付ける趣味も習慣も無いが財布だけは奮発してそこそこの値段の物を使用させて貰っている(と言ってもお小遣いをコツコツ貯めて買った物だが)
ある日いつもの様に買い物を終えて車に戻りシートに座る前に財布をズボンのポケットから取り出そうとしたがガッチリとくっついたように離れない。
自分「あれ💦何かした??」
嫁「何もしてないよ?」
拉致があかないので力任せに引き出すと何やら表面が軽く溶けたようになっており、ところどころ瞬間接着剤が乾いたように白くなっているではないか。
これは……あ、もしかして…
自分「店の出口にあった手指用アルコールジェル使った?」
嫁「あ💦」
手がまだ乾ききらないうちに革財布を触ってしまったらしい。
嫁は平謝りしながらお金を貯めて弁償すると言うが、毎月少ないお小遣いでやりくりしてくれている嫁にこんなことで補償などさせたくない。
大丈夫!と言いながら、大事にしていた財布だけに内心結構ショックだったのだがその後嫁が一生懸命財布の傷をどうにかしようとしているうちにウェットティッシュで拭くと乾くまでの間、少しだけ傷が消えることに気づいた。
そのことで、これはどうやら財布表面の革の保護材が溶けて毛羽立っているために白く見えているのではないかと考えた。
じゃあ揮発しない…そう、油のようなものを塗布すれば傷が消えるのではないか?
しかしサラダ油のような他のものに付着してしまう油ではダメだ。
何か良いものはないか…
そこで思いついたのは男性用化粧品のフェイスクリームだった。
これならばヒアルロン酸やグリセリンなどが含まれていて肌を乾燥から守りつつそれ自体は揮発しないはず。
その日の夜、寝る前にそれを財布の表面に薄く塗ってみると予想通り傷が消えたではないか。
あとは時間が経っても傷が再び現れないか確認するだけだ。
若干ドキドキしながらその日は就寝し、翌朝財布を見てみると……
おお!完璧!!
後日、職場の後輩にこの話をしたところ「革製品は革製品用のクリームを定期的に塗ってメンテナンスしたらいいですよ」と、有難い助言を頂いた。
皆さん…
革製品に水とアルコールは厳禁ですよ