その事件から数日後。
自分をボコボコにした不良が母親と一緒にうちに謝罪に訪れた。
事件当日とは真逆の印象で、泣きそうな顔をしながら自分に「ごめんな」と謝って来た。
その表情を見て何故か自分が少しだけもらい泣きしそうになりながら「こっちが先に謝っておけば良かった、ごめんね」と和解してその場は引き取っていただいた。
それでこの件は解決したかに見えた。
…が、それから更に数日後。
今更になるが何の因果か当時生徒会の書記を務めていた自分は体育館で行われた生徒総会でステージ下に並べられた机に全校生徒と向かい合う形で座っていた。
その時まだメガネが必須というほど視力が衰えていなかった自分は、カッコをつけてメガネを外していた。
すると10メートルほど先の生徒の集団の中に何やらこっちを指差してワイワイ言っている一団がいることに気がついた。
何だろう?
眉間にシワを寄せて精一杯の細目で(メガネをかければ良いのに)その方向に目を凝らすと、どうやら例の不良生徒の学科のようだがそこに当人の姿はなかった。
気のせいだと思うが自分を指差して何か叫んでいるように見える。
しかし確認しに行ける状況でもなかったので気にしないことにして、そのまま会は進行していった。
そして生徒総会が終わり自分のクラスの前をボンヤリ歩いていると廊下のかなり先の方で何か喚いている生徒がいる。
その生徒はメガネはかけているが頭髪は金に近い茶髪の、例の不良生徒とは違うタイプだがやはり不良であることは間違いなかった。
その不良が級友らしき人たちに羽交い締めにされながら自分に向かって
オマエじゃオマエ!!
と叫んでいるのだ。
はい?(汗)
思い当たる節もなかった自分が怪訝に思いながらもそっちに近づいて行くと、その不良生徒を羽交い締めにしていた普通そうな生徒が
「コイツいまキレちょんけん、いいからあんた帰りな」
と追い返された。
後から聞いた話だが生徒総会中に目の悪い自分が目を細めて彼の方を見ていたことでガンを飛ばしたと勘違いされたようで、それと言うのも自分をボコボコにした不良生徒と今回の不良生徒は仲の良い友達だったようだ。
どうやら以前の自分との一件のせいで某不良は謹慎処分になったらしく、それを自分が先生にチクッたせいだと激昂。
アイツを殴って学校辞める
と薄っぺらいドラマの様な理由で怒鳴っていたのだそうだ。
皆さん、見えにくいときは近づいて見るかちゃんとメガネをかけましょう。