そうして衛生用の前掛けを着けてから分娩室に通され、分娩台の傍に置かれた高イスに腰掛けて再び嫁の手を握る。
身体全体で苦しそうに大きな息をしながら嫁が助産師さんの指導で数回いきんだ。
顔は真っ赤で身体は小刻みに震えている。
そのリアリティに圧倒されながらも、その時は子供のことより嫁の方が心配で顔ばかり見ていた気がする。
3〜4回ほどそれを繰り返しただろうか。
脚の間に赤ちゃんの頭が見えた。
もう少しですよー!
助産師さん達が大きな声で嫁を励ます。
そしてもう一度いきんだ時
完全に赤ちゃんが姿を現し先生が素早くその身体を取り上げてへその緒をカットすると助産師さんにパス。
助産師さんがそのままお母さんの胸元に赤ちゃんを抱っこさせた。
妊娠中ずっとカンガルーケア…つまり産まれてそのままダイレクトに赤ちゃんを抱っこする事を嫌がっていた嫁が愛しそうに我が子の顔にキスをしているではないか。
しかし最初のひと言が
うわぁ、ぶちゃいく(笑)
(; ̄◇ ̄)・・・・・。
…まあ自分もそう思ったけど(笑)
さっきまで痛みやその他諸々で意識も朦朧だった嫁は憑き物でも落ちたように先生や助産師さん達の苦労を労う言葉を繰り返し、自分のすっぴんを恥ずかしそうにしている。
そして我が子に
「ごめんね、痛かったよね〜??」
いや、今はアナタがいちばん痛いから(笑)
いやー、女ってすごい。
これは男なんかが敵うはずがない。
これから先、自分なんかが出来ることは少ないと思いますがせめて全力で愛して行きたいと思います。
無事に産まれて(産んで)くれて有難う!!