水族館デートの一件以来、悶々としていることがある。それは
「彼女の方から積極的にアピールしてきてくれているのに自分がいつまでもこのよく分からない関係を引きずっていいのか?」
と言うことだ。
いいトシした男が彼女の方から積極的にデートなどに誘って来ているのに付き合っているのかどうかもあやふやなまま時間だけがいたずらに過ぎて行く状況を看過するのは良くないと思った。
ハッキリと「付き合って下さい」と言えれば理想だ。
しかし長すぎる独り身の習性がその考えを否定しようとする。
考え始めるとどんどん決心が揺らぎ始めるので自分はやがて考えるのを止めた。
告白するなら2月14日がいい。それ以外は考えないことに決めた。
…そう、マイナス思考の諸兄に告ぐ。考えると悪い結果ばかり浮かぶなら無理に良い方向に考えたりマイナスな考え方を抑え込もうとするより良い方法がある。
それは考えるのをやめること。
そして行動する!という事だけ決めたら後は当日まで余計なことは一切考えないこと。
…でもやっぱり気を緩めるとマイナスな想像は堰を切ったように沸き始めると思うが、そんな自分に気づいた瞬間に考える事を遮断する習慣をつける。
そんな調子で自分と闘いながら2月13日の深夜
その日彼女はバイトで夜23時に仕事が終わりそれから少しだけ付き合って貰えるように約束をした。
この時間なら告白する時は日付が変わってちょうど14日だ。
告白に決めた場所はとある展望台で別府市の夜景が一望できるムードあるデートスポットだった。
…実はこの場所も職場の同僚に薦められたのだが。
仕事が終わる時間がまちまちなので少し早めに彼女がバイトしている店に着いて彼女が出てくるのをひたすら待つ。
やがて仕事を終えて出てきた彼女を乗せて目的地は内緒のまま一路展望台へ。
展望台の周囲は真っ暗で他に車はほとんど無く告白するにはもってこいの状況だと思われた。
そして車のドアを開けた瞬間……
車のドアごと持っていかれそうな突風で思わず外に出るのを躊躇する。
それも一陣の…ではなくずっと吹き荒れているのだ。まるで告白するのを阻止するかのように(笑)
ただでさえ2月のそれも切り立った高い山の上。強風で立っているのもままならないほどの中、頑張って手摺りのある崖淵まで行ったが夜景に対するコメントも一言も浮かばず僅か1分ほどで2人とも無言のまま車に戻る。
自分「………………」
彼女「………………」
寒さで身体が硬直して少しの間沈黙した後なんだか笑いがこみ上げてきて2人して大笑いした。
「いやいや、ないわー(笑)」
いいとこで次回へ(笑)