デートに選んだ場所は大分・久住高原にあるガンジーファーム。
牧場は牧場でもカフェ風のレストランやお土産の売店などもあり休日にはそこそこ賑わう観光名所である。園内には数種類の動物のブースがあって餌やりなどもできる。
ただ足場が悪い場所も多いため彼女にも注意を促しながら数種類の動物を見て回った。
その中でも彼女が取り分け気に入ったのが鴨の池で、ちょっとブサイクな鳴き声の鴨たちが必死に餌を奪い合う様がめちゃくちゃ可愛いと言う。
その後、お土産の売店内にある食堂で牛乳煮込みうどん(?)なる物を食べてお土産を買ってこの日のデートは終わり。
行き帰りの車中で色んな事を話したが不思議なことに話題に困ることがなかった。好きなマンガが一緒だったので大部分はその話題だったし家族や兄弟のことなど色んなことを話した。
基本的に女性が苦手で目も合わせられず会話もしどろもどろになる自分が何故か不思議なくらい自然に会話できる。
じゃあ何故そういった症状が出ないのか?
女性を感じないから?
いや、それどころか普通に可愛いし服装だってオシャレだと思う。
年齢が離れすぎているから?
年齢が離れていることは苦手意識の増長にはなっても軽減にはならないと思う。
彼女の纏う空気のなせる業なのか。考えても分からないがとにかく彼女と一緒に居ると楽しくて話したいことがどんどん湧いてくる。
数年前…いや、ほんの数週間前までは自分にこんな日が来ることなど微塵も想像できなかった。
1人でも楽しかったし趣味も少なくなかったしこの先もずっと独りで生きて行くものだと思っていた。
それが今は揺らぎ始めている。
でも彼女いない歴20年超の自分には新しいこの女友達と遊びに行く場所を選ぶことはまだ少し重荷で自分自身の知識の無さに、ただただ途方に暮れてしまうばかりだった。
…取り敢えず数少ないレパートリーの中から女の子が喜びそうなレストランを思い出しながら次のデート場所を模索する引きこもり気質の38歳であった。